洋光台南第一住宅集会所・管理事務所
YOKODAI MINAMI HOUSING COMPLEX 1 ASSEMBLY HALL AND OFFICE

令和三年度 木材利用優良施設コンクール 優秀賞 |ウッドデザイン賞2022

優秀賞団地の次の50年/再生プロセスの拠点となる小さな木造の集会所

洋光台南第一住宅は、全39 棟(696 戸)築年数50 年の歴史ある団地で、創建当初より中央の広場に建つ高さ約40 メートルの給水塔が団地のシンボル的な存在となっていました。しかし耐震診断の結果、地震の際の倒壊危険性が判明、給水塔は解体されることとなり、その基壇部に付随していた集会所・管理事務所機能だけを新しく建て直すこととなりました。
新集会所・管理事務所は、高度成長期に建設され、現在様々な問題を抱える団地を次のサイクルに導くための中心的なプロジェクトと位置付けられ、持続可能な団地の未来を描く新たな象徴となるべく木造で計画されました。RC 造の箱型の住棟が建ち並ぶ団地の中に、住民の多様な活動を可視化する folded roof(連続折れ屋根)と、集まり場を可視化する floating roof(浮屋根)により生み出されるリズミカルで複雑なかたちが、対比的な木造のスケール感や親密性を持ち込み、新しい風景を作り出します。
ループ状の folded roof は、外周沿いに隙間なく並べられた小さなルームの上に架かり、ルームを緩やかに分節しつつ連続的につなげます。ルームは外部に対してオープンな構えになっていて、住民の多様な活動を可視化します。深い軒空間はルームからつながる半屋外の活動領域を作り出します。ルームは引込戸やカーテンで区切られ、コネクトすることで用途に応じてフレキシブルに利用できます。 一方、建物中央の floating roof は柔らかな布のようなHP形状です。ハイサイドライトから入る光は木によって色合いや質感がコントロールされ、空間を満たします。このフリースペースにアクセスするにはルームを通過する必要があるため、集会所を訪れた人たちの交流が自然に活性化されます。

撮影:坂下智広

 


 

発注者 :洋光台南第一住宅管理組合
用 途 :集会所・管理事務所
所在地 :神奈川県横浜市磯子区洋光台5-4-40
設計監理:スタジオ・クハラ・ヤギ + team Timberize(建築), MID研究所(構造)
     アミージュ企画設計(機械), EOS Plus(電気・照明), マインドスケープ(外構・植栽)
施 工 :ナイス株式会社(建築), 横浜緑地株式会社(外構・植栽), 株式会社中鉢ホーム(外灯)

敷地面積:3424.21㎡
建築面積:538.02㎡
延床面積:444.68㎡
階 数 :地上1階
構 造 :木造
設計期間:2019年10月 ~ 2020年8月
工事期間:2020年9月 〜 2021年3月

掲載誌:日経アーキテクチュア 2021年12月9日号

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