糸魚川市駅北復興住宅
PUBLIC HOUSING IN ITOIGAWA

第31回 北陸建築文化賞[作品] / 第23回 木材活用コンクール 木材活用賞
令和元年度 木材利用優良施設コンクール審査委員会特別賞 / ウッドデザイン賞 2019

大火の復興拠点となる共同住宅を木造でつくる

糸魚川市駅北復興住宅は、2016年12月に発生した糸魚川市駅北大火からの復興の象徴となる、被災者のための復興公営住宅です。
歴史と文化が香るまちを目指し、木を活かしながら災害に強くにぎわいのあるまちを作ろうという復興まちづくり計画を踏まえた、木造三階建共同住宅(準耐火建築物)の提案が受け入れられ、設計プロポーザルで選定されました。
全18戸と交流スペース、訪問診療所から成り、まちのスケールに合わせて建物を4つに分割、東西方向に伸びるナカニワ、南北に貫くコウジ、広場に面したガンギデッキを設けて、市民と住民の交流が活発に行われる場としています。
建築には糸魚川産の木材がふんだんに使われています。ガンギデッキや共用廊下に用いた集成材厚板パネルは、糸魚川産のスギをラミナとして県内の集成材工場で製作したもので、大きな木の軒空間は建築のデザインを特徴付けています。共用部を構成する外壁の羽目板や、手すりのルーバー、格子、更には構造材の柱、室内のデザインウォールにも糸魚川産のスギが使われており、その使用量は186㎥です(建築全体の木材使用量は 352㎥)。
日本海にほど近い敷地の冬期の厳しい環境を鑑み、全住戸の玄関はナカニワに面しています。住戸は、二重の木製框引戸から直接リビングにアクセスする開放性の高い川の字プランです。各所に木の風合いを活かした造作が点在するナカニワは、ほどよい距離感と絶妙なレベル差により、親密性がありながら一定のプライバシーが保たれるようになっています。住民同士が見守り見守られながら住まう公営住宅の新しいかたちを目指しています。

撮影:坂下智広

 

 

発注者 :糸魚川市
用 途 :共同住宅
所在地 :新潟県糸魚川市本町
設計監理:スタジオ・クハラ・ヤギ + team Timberize(建築), MID研究所(構造)
     アミージュ企画設計(機械), EOS Plus(電気・照明), 桜設計集団(防耐火)
施 工 :猪又・カネタ・後藤特定共同企業体(建築), 井上商会(機械), 松沢電業(電気)

敷地面積:1,103.84㎡
建築面積:751.36㎡
延床面積:1,396.17㎡
階 数 :地上3階
構 造 :木造
設計期間:2017年11月 ~ 2018年3月
工事期間:2018年7月 〜 2019年3月

掲載誌:新建築2019年8月号, 日経アーキテクチュア 2019年9月12日号, 建築ジャーナル2019.11, 建築技術2022.11

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